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執筆者の写真株式会社グラティアマネジメント

「私は憎しみ合うようには生まれついておりません。愛し合うだけです。」

更新日:2020年9月6日

これはアンティゴネーという古代ギリシアの女性の言葉です。

彼女は王女でしたが、

父の後に王位に就いた叔父が下した

不条理な命令に対して言い放った言葉です。


世の中には憎しみと対立を煽ることによって

利益を得るような商売もあります。


しかし、それは人間の商売のあり方として

正しいあり方でしょうか?


人間と人間の関係の基本は「愛し合う」ことにあります。

この場合の「愛する」とは

相手を尊重し、大切に扱う、ということになりますね。


お金が絡む取引も含めて、

相手を大切に思う心、

即ち「愛し合う」心が

全ての根本にあることを

今一度思い出して、大切にしてゆきたいものですね。




 

【さらに詳しく知りたい方のために】


「私は憎しみ合うようには生まれついておりません。愛し合うだけです。」  (ソポクレス『アンティゴネ』523)

これはギリシアの三大悲劇作家の一人、ソポクレスによる『アンティゴネ』という作品の第523行の言葉です。


アンティゴネーはエディプス・コンプレッサーで有名なオイディプス王の娘でした。オイディプス王は呪いによって自ら盲目となり、テーバイの王位を妻の弟クレオーン(=自らの叔父)に譲って旅に出ます。


その後オイディプスの二人の息子たちは成人して互いに争う関係となり、一人はアルゴスという他の国に亡命してテーバイに攻めて来ました。そこで血を分けた二人の兄弟が戦う羽目になります。その結果兄弟二人とも相討ちとなって果てました。クレオーンはテーバイに残っていた王子は国葬で盛大に葬りますが、攻めてきた息子の方は埋葬を許さず遺骸を放置するように命令します。


(現代でも人間が死亡すると埋葬を行うことが法律で定められています。人間の死骸を放置すると死体遺棄罪に問われます。そのように、埋葬をしないことは死者に対する侮辱と見なされています。)


妹のアンティゴネーにとってはどちらも血を分けた兄たちでしたが、一方は国葬にされ、他方は埋葬も許されない。彼女にとっては耐え難い事態でした。彼女はクレオーンの定めた法律を犯して兄を埋葬しに出てゆきます。その結果、国王の禁に背いた廉で彼女は逮捕され、死刑判決を受けます。その後に待ち受けている更なる悲劇は、本編をひもといて頂きたいと思います。



523行の言葉は、彼女がクレオーンの命令に背いて遺骸を放置された兄の埋葬に向かう前にクレオーンに向かって述べた言葉です。


この言葉を読むと、彼女がどのような行動原理に基づいて、国王の命令に背くような暴挙に出たのか、理解できる気がしますね。


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